団地の居心地を今に受け継ぐには

富士見台団地のリノベーション

団地の心地良さを現代に受け継ぐことができないだろうか。畳の部屋は現代の生活スタイルには合わないが、団地の持つ質感は大切にしたい。そこで間取りと部位に分けて考えてみることで、なるべく便利に広くしつつ、各所に素材を残すことにした。全て当時のまま保存するのではなく現代の生活のなかでどのように使えるのかを考えるプロジェクト。
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築50年の団地に家族3人の住まいと小さな仕事場をつくる計画。今でも畳や襖などの日本家屋の要素が今でも残されており、現代の集合住宅に見られない心地良さがある。しかしそのままでは少し使いにくい。例えば、床のほとんどが畳敷きのため、椅子は置けない。間取りも4畳半と6畳で構成されているため、大人数で集まるには少し狭い。なるべく団地の持つ心地良さを残しつつ、この不自由さを解消できないだろうか。そこで団地を間取りと部位に分けて考えてみることにした。使い方が多様化している現代には当時の間取りは適応しにくいが、畳や襖などの部位は触り心地、使い心地など、手で触れる身体的な要素である。こちらは時代に影響を受けにくい。そこで、この改修では仕切りを取払い、なるべく広くしつつ、各所に既存部位を残すことにした。例えば、畳は表替えをしてベンチにして、テーブルと畳を一緒に使えるようにしたり、押入れは仕事用のデスクにしたり、襖を麻に貼りかえることで風通しの良い襖にした。全て当時のまま保存するのではなく、現代の生活のなかでどのように使えるのかを考えることで、団地の持っている心地良さを現代に受け継ぐことができるのではないだろうか。

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施設名|富士見台団地リノベーション
所在地|東京都国立市
用途|専用住宅
竣工|2014年
種別|改修、RC造
専有面積|45.00m2

施工|junpei nousaku architects
撮影|junpei nousaku architects
意匠担当|能作淳平 石飛亮 ElieMahin

掲載
新建築 2015年8月号
Casa BRUTUS 2015年1月号
LiVES no.79
LIXILeye no.13