1Kマンションをそのまま大きくする

赤羽台団地のリノベーション

ファミリータイプの部屋を賃貸用に改修するプロジェクト。最小限の要素で作られたワンルームマンションの間取りを参照し、それをそのまま拡大したような形にした。全てを大きく作り、スケールアウトすることで人を招き、自由に使ってよいような寛容な空間にかわる。

間取り比較文字入りenglish

団地をできるだけ自由な間取りにしたい。住み手の工夫次第で新たな使い方を考えることができる間取りだ。団地の代表的な間取りである「2DK」は核家族が住むことを想定して作られた。建設当時、都市の人口増加を解消するために効率的に作られたが、一方で核家族の適正サイズの空間として、画一的に作られた間取りに窮屈さも感じる。
本計画はそのような団地の一室を賃貸物件に変えるための改修である。不特定多数の人が使うことを想定し、あまり作り込まず、なるべく広くすることが望ましいと考えた。そこで、最小限の要素で作られたワンルームマンションの間取りを参照し、それをそのまま拡大したような形にした。居間だけでなく、キッチンカウンターや浴槽、洗面台など住宅の要素を全て拡大することで、例えば湯沸ししかできないキッチンも料理教室の調理台のように、洗面台と便器を詰込んだユニットバスもホテルのバスルームのように、一人分の小さな収納もベッドが納まるスペースに変わる。居間はちょっとしたお店や事務所であれば、お客さんを招くスペースにもできる。小さな部屋で構成された間取りだと、そこに住む家族だけが占有し、家族以外の人は入りにくいが、全てを大きく作り、スケールアウトすることで人を招き、自由に使ってよいような寛容な状態になれる。このように家族以外の人も入りやすい開放的な間取りにすることで、高齢化が進む団地にいろんな世代や職種の人たちが集まるきっかけになればと思う。

施設名| 赤羽台団地のリノベーション
所在地|東京都北区
用途|賃貸住宅
竣工|2012年
種別|改修、RC造
専有面積|47.97m2

施工|泰進建設
撮影|junpei nousaku architects
意匠担当|能作淳平

掲載|新建築住宅特集 2013年5月号