地域資源を掘ってつなげる実験場

富士見台トンネル

東京都国立市にある富士見台団地の商店街にみんなで働けるシェアする商店をつくる。キッチン付きのシェアスペースの使い方は自由で、飲食店以外にもワークショップ、物販、イベントに使うことができる。サイドビジネスとしてやセカンドキャリアのチャレンジ、もしくは趣味の延長で小商いが展開する。寝るだけの街ではなく、さまざまな人の生業が集まることで活気が生まれる。

富士見台トンネルは郊外における新しい働き方を提示する実験の場と考えている。空間は基本的に1つのスペースで中央にテーブルを配置した.その周囲にキッチンや本棚やスクリーンなどを配置することで,キッチンや客席のテーブルや製作用の作業台としても使え、キッチンは会員制のシェアスペースで,会員は自らの屋号で出店できる.出店者は週に1日だけ商売をしたい主婦や,本業の延長で実験的に出店しているお店もあれば,本業とは別の商売をしているお店もあり,どの商店も個性的だ.富士見台トンネルでは空間もサービスもあえて全て用意はしていない。出店者がキッチンと大きなテーブルを使って工夫できるラストワンマイルを残すことで、出店者とお客さんはもはや単にサービスを提供する側と受ける側という関係ではないくなり、商店ごとにファンが集まりコミュニティになりつつある.趣味嗜好ごとに議論がうまれ,さらに商店同士も議論に参加して,言ってしまえば,お客さんも他の店主たちも一緒に商品開発をしている状態だ.このように富士見台トンネルには食材や道具など物質的な資源や人がもつスキルのような人的資源も集まっている.富士見台トンネルではこうした資源を基本的にオープンソース化し独占しない.資源を閉じれは短期的なブランディングには成功するが,長期的なカルチャーにはなりにくい.スペインのサンセバスチャンで前衛的な食のカルチャーが確立したのも,街で店主たちがレシピを共有したからだろう.オープンソース化することでブランドはカルチャーになり,大量の創作が生まれる.一見無個性だと思われている東京の郊外住宅地でカルチャーが生まれる土壌をつくることを目指している。

施設名|富士見台トンネル
所在地|東京都国立市
用途|飲食店、オフィス
竣工|2019年
種別|改修
構造|RC造
専有面積|49.5m2

施工|月造、HandiHouse、junpei nousaku architects
ロゴ サイン|Study and Design
ネーミング
Better
撮影junpei nousaku architects
意匠設計|junpei nousaku architects 能作
URLhttps://fujimidaitunnel.com/