富士見台トンネル | FUJIMIDAI TUNNEL

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日本は仕事をする都心と暮らしの場である郊外を分けることで経済成長を遂げた.重工業が主要産業の時代は郊外に環境が良く安全なベッドタウンをつくる必要があったが,今ではそれは近代化の名残でしかない.生産年齢人口が減少している今,母も働き,男性も子育てもしながら、さらには介護もしながら働くことが求められる.また、働き方改革が叫ばれ,通信技術の発達とともに在宅勤務やフレックス制度の整備なども進み,さまざまな企業が副業を推奨するなど,場所や働き方を自由に選ぶことが可能になりつつある.

富士見台トンネルは郊外における新しい働き方を提示する実験の場と考えている。空間は基本的に1つのスペースで中央にテーブルを配置した.その周囲にキッチンや本棚やスクリーンなどを配置することで,キッチンや客席のテーブルや製作用の作業台としても使え、キッチンは会員制のシェアスペースで,会員は自らの屋号で出店できる.出店者は週に1日だけ商売をしたい主婦や,本業の延長で実験的に出店しているお店もあれば,本業とは別の商売をしているお店もあり,どの商店も個性的だ.富士見台トンネルでは空間もサービスもあえて全て用意はしていない。出店者がキッチンと大きなテーブルを使って工夫できるラストワンマイルを残すことで、出店者とお客さんはもはや単にサービスを提供する側と受ける側という関係ではないくなり、商店ごとにファンが集まりコミュニティになりつつある.趣味嗜好ごとに議論がうまれ,さらに商店同士も議論に参加して,言ってしまえば,お客さんも他の店主たちも一緒に商品開発をしている状態だ.このように富士見台トンネルには食材や道具など物質的な資源や人がもつスキルのような人的資源も集まっている.富士見台トンネルではこうした資源を基本的にオープンソース化し独占しない.資源を閉じれは短期的なブランディングには成功するが,長期的なカルチャーにはなりにくい.スペインのサンセバスチャンで前衛的な食のカルチャーが確立したのも,街で店主たちがレシピを共有したからだろう.オープンソース化することでブランドはカルチャーになり,大量の創作が生まれる.一見無個性だと思われている東京の郊外住宅地でカルチャーが生まれる土壌をつくることを目指している。

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設計:junpei nousaku architects
担当:能作淳平
施主:富士見台トンネル
施工:月造、HandiHouse、junpei nousaku architects
用途:シェア商店、オフィス
所在地:東京都国立市
竣工:2019.08
サイン:Study and Design (古谷萌)
ネーミング:鳥巣智行

計画面積:44.80㎡
工期:2019.07-2019.08